厚生労働省は四日、福祉・介護サービスに従事する人材を将来にわたって安定的に確保していくため、国や地方自治体、事業経営者が取り組むべき措置を盛り込んだ「福祉人材確保指針」の案をまとめ、社会保障審議会福祉部会(部会長=岩田正美日本女子大学教授)に提示した。他産業と比較して低い賃金水準であることが介護職が定着しない最大の要因だとして、介護報酬の引き上げを明確化すべきとする意見が相次いでいたが、新指針案では「保険料負担の水準にも留意しながら適切な介護報酬を設定すること」と表現するにとどまった。一方、介護福祉士の資格取得者を報酬で評価する仕組みや、人員配置基準のあり方について検討していくとした。単なる″努力規定″にとどまらないよう、定期的に評価検証して対策を講じていくなど、実効性を上げることも新たに盛り込まれた点だ。
社会福祉法で規定されている福祉人材確保指針の見直しは、一九九三年の策定以来初めてとなる。現行の指針は、社会福祉法人を主体としたサービスが対象だが、介護保険の導入によって居宅介護支援やリハビリ、特定施設など幅広い領域にわたって多様な事業主体が混在するようになったため、新指針では社会福祉事業以外の「介護」サービスも一体的に人材確保対策の対象とする。
六月には、骨格案のパブリックコメントを行い、二週間で地方自治体、事業者、国民などから述べ四三七件の意見が寄せられた。労働環境の改善に関する要望が最も多く、中でも賃金水準に直結する介護報酬の引き上げを求める意見は少なくない。
これを踏まえて厚労省が作成した新指針案では、「労働環境の整備」「質の向上を図るキャリアアップの仕組みの構築」「資格を持ちながら就業していない介護福祉士などの潜在有資格者の参入の促進」「高齢者や他分野の人材など多様な人材の参入促進」が必要だとし、国や地方自治体、経営者などがそれぞれ行うべき具体的な措置を明示した。